2013年9月1日日曜日

集中とリラックス


太極拳を学ぶのは難しい
 難しさの原因は、学ぶ人の「年齢」と太極拳の「複雑さ」に依るところが大きい。

年齢
 太極拳を学ぶ人は年配の人が多い。若い時は、学ぶべきことがたくさんあるので、毎日が勉強だが、年を取ると、もう知るべきことは既に知っていて、新たに学習する機会は少なくなっている。学習の習慣が失われ、脳はものを覚えにくくなってしまっている。太極拳の各種動作を覚えにくくなっている所以だ。

複雑さ
 太極拳は動作の種類がたくさんあり、且つ、動きが複雑だ。この種類の多さと複雑さが、太極拳の難しさの原因となっている。

 太極拳は手、眼、身(身体)、歩(足)の総合的な動きによって形成されているのだが、例えば、手一つを取ってみても、上腕、前腕、前腕の内側、外側、肘、手首 虎の口、指、等の各部分が、それぞれ一定の動きをし、それらの動き一つ一つを意識していなければならない。手以外の眼、身、歩についても、同様に各部分の動きを動作の間中、意識し続けなければならない。

 また、太極拳の動きの要素に「時間」『空間(方向)」「角度」「タイミング」がある。
「時間」は動作の速度
「空間」は自分と自分を取り巻く環境との関係(方向)。例えば、室内では窓の方向、鏡を背にして右、左など。目印のない広い空間では東西南北など。
「角度」は自分の身体と手や足、視線との関係。つま先の角度、左足を斜め後ろに出す…など。
「タイミング」は、身体各部のすべての動きの調和と同時性。
例えば、全身の動きの始まりと完成を一致させる。右と左、前と後ろなど、互いに関連のある動きの調和。手眼身歩をバランス良く同時に動かす…などなど。


 陰陽
  体を適切に動かし、体各部の動きを同期するには、套路の間中、常に自分の身体を意識しコントロールする必要がある。そのためには意識を動作に集中する必要があるのだが、もう一方で、太極拳は、体を緩め、リラックスした状態で行うことも求められている。集中とリラックスという、一つにするのが不可能なものを統合することが求められているのだ。

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